地理学あれこれ1
(blog アーカイブ 2005〜)


 

2005年05月10日:地球なんか愛せない

  

  

  

  


 
 
 
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 ■2005年5月10日:地球なんか愛せない

 誤解の無いように書いておくが、私はなにも「地球なんかぶっ壊せ」と言っているのではない。人間は地球を基盤とする自然のシステムをもっと良く知り、それに敬意と怖れをもたなければならない、というのが私の基本的な考え方である。「地球を愛するワタシ」などという馬鹿丸出しのことを言わないで欲しい、ということである。

 では、今開かれている「愛・地球博」なる巨大催し物の「愛」とは何か、私は単に「自己愛」だと思っているのだが、そのことを良く示す問題が起きた。
 愛知万博瀬戸会場の野外劇場における「市民プログラム」(8日)で、和太鼓などによる催しが正午から約2時間半行われたが、それについて、繁殖期を迎えている鳥類などに悪影響が出ると自然保護団体が抗議した、という問題である。

 自然保護団体側は「音」が動物に与える恐怖について訴えているが、これは大変重要な問題である。重要と言うのは、この件に限らず、生物への影響を話題にするときに、水質や大気の「汚染」や奇形の個体の発見などに異常に偏り、現実の生活(生存)環境への「刺激」が軽視され過ぎているからである。
 「音」「光」「におい」などについての人間の感受性は、多くの生物の中では相当に劣っていると考えるべきである。「自然との調和」を本当に真剣に考えているのなら、少なくとも、瀬戸会場では自然に存在しない一切の「音」「光」「におい」を厳しく制限するべきなのである。
 なぜならば、愛知万博は当初瀬戸会場を主たる会場として計画されたが、「海上の森の自然を守る」として中心を長久手町の現会場に移したという経緯があるからである。

 残念ながら、こんな指摘は博覧会関係者には通じないだろうと思う。毎日新聞の記事が、抗議文を出した団体の「人数」をわざわざ記していることにも、その辺の読みが感じられる。
 ただ私がうんざりするのは、企画の段階で「ロックコンサート」は駄目だが「和太鼓」なら良い、というような判断が間違いなくあっただろう、ということである。
 周囲の自然への影響をできるだけ少なくすることを、真剣に科学的に考えるのではなく、自分(達)の行動(活動)がどれだけ「自然っぽく見えるか」だけを考えているのが見え見えだから、「自己愛」だと言うのである。

愛・地球博:「和太鼓演奏が鳥類に悪影響」−−海上の森野鳥の会など抗議文

 愛・地球博(愛知万博)の瀬戸会場で行われる和太鼓などの演奏で、繁殖期を迎えている鳥類などに悪影響が出るとして、「海上の森野鳥の会」(会員約50人)と「カスミ網バスターズ」(メンバー7人)、万博反対団体などで構成する「愛知万博から海上の森を守るネットワーク」は共同で9日、万博協会と瀬戸会場市民プログラム事務局に抗議文を提出した。
 瀬戸会場の「野外劇場」で行われている市民プログラムで今月8日、和太鼓などによる催しが正午から約2時間半行われた。今後も複数の同様のプログラムが予定されている。3団体は、瀬戸会場がある瀬戸市の「海上の森」で、オオタカなどの営巣を確認しており、「動物は音を頼りに身を守っている。動物はおびえており、音が響いている間、鳥のさえずりは消える」と指摘。「環境博を標榜(ひょうぼう)する以上、街の中などふさわしい場所でやって」と要望している。【荒川基従】
 毎日新聞5月10日朝刊(Yahoo)


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