日本人の会議 <日本人の論理と社会>

委員会・審議会における“議論”について 2005/7/14

 日本の政府や県・市などには多くの「委員会」や「審議会」が設置されている。私もこういった場に委員として参加したことが多数あるが、活発で創造的な議論が展開されたものは残念ながらごく少数であり、多くは何とも奇怪な「儀式」であった。
 議事は、最初に座長や委員長から当日の主旨が簡単に説明され、引き続いて「事務方」から議題の背景、関連資料(当日配布)などについての説明が行われる。その後で、再び座長(委員長)から議題、議事進行の方向などについて冒頭説明があって議事に入る。一定時間の議論を続けた後、座長が議論のまとめを行い、必要なら結論を出して終わる。
 これが一般的なスタイルであるが、冒頭の「説明」というのがくせ者で、「結論」を先に言っているとしか思えないものが少なくないのである。
 こういう冒頭説明があったような会議は、たいてい以下のような経過をたどる。
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座 長:
 それでは、ご審議いただく議案について事務方から説明してもらいます。
事務方:
 説明させていただきます。
   <やたら具体的で、殆ど“できあがっている”話を、詳しく滔々と述べる>
座 長:
 それでは、この事案について、委員の皆様から問題点、課題などをご指摘いただいて、議論を深めていきたいと思います。・・・それでは、ひとつ活発で「建設的な」議論をお願いします。
   <この「建設的な」というのは、もう大きな“異論”は言うんじゃネエぞ!という警告である>

  ・・・しかしながら、“根が真面目な”委員達はけっこう活発に議論
  ・・・重要な問題点が指摘される
  ・・・最終的に、原案を大幅に修正する方向で委員の意見がほぼまとまる
  ・・・事務方は非常に渋い顔・・・。

座 長:
 長時間にわたって熱心な議論を繰り広げていただき、大変ありがとうございます。そろそろ時間も迫って参りましたので、本日のまとめに入らせていただきます。
 ○○委員、××委員からは非常に有益なご指摘をいただきました。また、△△委員からは大変厳しいお言葉を賜りましたが、これも問題に真剣に取組め、という励ましと受け止めさせていただきたいと思います。
 それでは、議論もほぼ出尽くしたようなので、本委員会としては冒頭に説明のありました原案のとおりご承認頂いた、と言うことでよろしいかと存じます。(慌ただしく)本日は大変ありがとうございました。それでは散会いたします。
   <委員一同ぼう然!>
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 冗談だと思うだろうが、実際このとおりなのである。そして、もっと驚くべきことは、上に書いたものとほとんど同様の「進行プログラム」=「司会せりふ集」が事務方によって分刻みで作られ、事前に座長に渡されていると言うことである。
 実際、私はいくつかの「委員会」でそのような「進行プログラム」に従って座長を勤めた経験をもっている。

 これが、日本の国家運営、地方の行政執行において重要な意思決定に関わる場面で、現実に行われている「議論」と称するものなのである。

<2005年7月14日のブログ「日本国における“議論”(平等と対等2)」から改稿。>


 
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