現代社会を考える (ブログ・アーカイブ 2007〜2008)


 

2008年06月18日: "イラン救出" について

2008年06月10日:秋葉原通り魔便乗発言

2008年05月15日:毒ガス製造

2008年02月23日:クラスター爆弾と日本政府

2008年01月12日:大森山動物園の犯罪

2007年12月03日:高齢化時代

2007年09月28日:カメラマン射殺

2007年09月27日: "終わりの始まり" か、ビルマ軍事政権

2007年07月31日:米下院の慰安婦決議

2007年07月03日:久間発言の問題

2007年05月17日:ブッシュ暗殺

2007年01月28日:今、大阪で起きている事


 
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■2008年06月18日: "イラン救出" について

 予想通りの "声" が出てきたものだ。
 6月17日夜の Yahoo トップニュースに下記のような見出しが出た。
  <イラン救出 自己負担にとの声>
 この見出しの記事は、18日になると何故か "昨日の話題" の "海外ニュース" にアーカイブされるという奇妙なことになっているが、下記のようなものである。

救出費用は自己負担に=イランの邦人解放で−笹川氏

 笹川堯衆院議院運営委員長は17日午前の自民党役員連絡会で、イランで誘拐された日本人大学生が8カ月ぶりに解放された事件に関し「外務副大臣がスタッフを連れて、3度イランに行っている。これはみんな国民の税金(で負担している)」と指摘した。その上で「政府が渡航の自粛を要請しているところに行った人については、今後、外務省で厳しく徹底する必要があるのではないか」と述べ、救出に要した費用は本人の負担とすべきだとの考えを示した。
6月17日13時0分配信 時事通信

 このニュースには注目すべき点が2つある。
 第一は、何でも "アメリカと同じ" が大好きな保守系の政治家の一人であるのに、 "コクサイ社会 (つまりアメリカのこと) では・・・" と言ういつものセリフが無いことである。
 また第二は、さほど大きな、全国民的に関心の集まっているような事件でもないのに、なぜわざわざこのような発言をしたか、である。
 第一はきわめて簡単なことで、アメリカ政府は絶対にこのような考え方はしないから。
 アメリカだけでなく民主国家と呼ばれる国であれば、例えどのような理由・経緯であれ "誘拐された自国民の保護" に全力を尽くすのは当然であり、費用を負担させるなどという馬鹿げた意見などあり得ない。仮に、自国の法令に違反した行為があれば (後で) 容赦なく処罰はするが、国家としての義務である "救出" とは別の問題である。
 大変興味深いのは第二の点である。
 総選挙が時間の問題となっている現在、ベテラン政治家たちの発言はほぼ全てが "選挙" を意識したものとなっていることは明らかで、笹川代議士のこの発言も、一定の割合の国民が賛同する=支持を集めることを見越してのものと思われるからである。


 
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■2008年06月10日:秋葉原通り魔便乗発言

 大きな事件があった際の "大臣コメント" というのは、官僚の作文を元にしゃべるだけ、というのが一般的。
 だから、防衛相、国家公安委員長など実際に事件に対峙する官庁の大臣の発言は慎重・現実的になる一方で、総務省(旧自治省・郵政省、もっと昔は内務省!)や文部科学省などの大臣の発言は騒ぎに "便乗" して "かねてから狙っていた規制や調査" などを持ち出すものとなる。

秋葉原通り魔:有害情報規制に努力 増田総務相

 東京・秋葉原の通り魔事件で、加藤容疑者が事件までの経緯を携帯電話サイトの掲示板に書き込んでいたことが、10日午前の閣議後の閣僚懇談会で取り上げられた。
 石破茂防衛相が「『これから人を殺します』と犯行予告が出ている。技術的に察知してアクションが取れないのか」と指摘したのに対し、増田寛也総務相がネット上の有害情報の規制策について「努力してみる」と応じた。また、泉信也国家公安委員長は「できる限り情報を入手できるように、警察庁が9日付でインターネット接続業者に通達した」と説明した。また、泉氏は、殺傷力の高いダガーナイフの規制について閣議後会見で「一般に使う家庭の主婦が持っている包丁もあるので、慎重に考えなければならない」と述べた。
 渡海紀三朗文部科学相は閣議後会見で「今の子どもはキレるといわれるが、脳科学で解明したい」と述べた。近く発足させる発達と徳育に関する調査研究会で、脳科学者や発達心理学者を集め、幼児期の脳の働きと行動について解明に乗り出す。
毎日新聞 2008年6月10日 13時29分


 
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■2008年05月15日:毒ガス製造

 無届けで "毒ガス" 製造したら、それこそテロリストである。
 これだけ問題を起こし続けていて、それでも会社そのものの存廃はまったく問題にされないのだから、よほど特別な会社なのだろう。
 どこかに特別に強いコネがあるのか、それとも強大な権力をもつある人(達)の弱みでも握っているのか・・・。

猛毒ホスゲン170トンを無届け製造 石原産業

 化学メーカー・石原産業(大阪市)の織田健造社長は14日、三重県庁で記者会見し、四日市工場(同県四日市市)で、毒ガスとして化学兵器に転用可能なホスゲンを国に無届けで製造するなど、新たに7件の不正行為を発表した。同社は有害物質を含む土壌埋め戻し材「フェロシルト」を不法投棄した罪で、同工場の元副工場長が実刑、法人としての同社も罰金5千万円の判決を受けている。

 同社の説明によると、新たな不正は、フェロシルト事件を受けて今年3月、全社員約1600人に文書で不正行為の報告を求めた社内調査で判明した。(1)農薬の原料で化学兵器に転用可能なホスゲンを、化学兵器禁止法で定められた国への届けをせずに製造(2)海中へ投棄する排水内のマンガン測定値の改ざんなどで、いずれも四日市工場での不正だという。

 ホスゲンは年間30トン以上生産する場合、計画量と前年の実績を経済産業省に届け出ることが化学兵器禁止法で義務づけられている。しかし、同社は05年に約98.1トン、06年に約74.5トンの計172.6トンを国に届けずに製造していた。織田社長は「当時の工場責任者が、毒性の高い物質の製造を明らかにすると、住民の理解を得にくいと考えたようだ」と説明し、ホスゲンの漏出や農薬製造目的以外への転用はなかったとした。
 ーー 以下略 ーーー
Asahi.com 2008年05月14日22時06分


 
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■2008年02月23日:クラスター爆弾と日本政府

 代表的な無差別殺戮兵器の一つである「クラスター爆弾」の禁止条約について、日本政府は禁止条約そのものに "反対" を表明している。
 例に拠って「実効性がない」などと国際的にはまったく通用しない理由を挙げている。
 この種の議題は常に「国家としての基本的な思想・姿勢」を表明するものであり、「他の国が賛成しそうにないから」反対だ、などというのは、「思想も理想も無く、ただパワーバランス」だけしか見てない国、ということを政府自らが宣伝しているようなもので、まさに国辱ものである。
 条約に反対する他の国々は「武器として必要だ(使いたい)」と主張しているのだから、賛否はともかく主張は明快である。
 しかし、この典型的な "攻撃用兵器" を、「自衛のための限られた戦力しか保有しない」筈の自衛隊が "専守防衛のために必要だ" と主張するのはいかにも異様であることから、この訳の判らない理由になるのだろう。
 もちろん、駐日アメリカ軍による "持ち込み" への配慮、生産・輸出企業への配慮を最大限行なった結果であることは言うまでもないだろう。
 何よりもやりきれないのは、この件に関するメディアの関心の低さである。
 自分たちを(一応)代表する政府が、世界に向かってクラスター爆弾の「禁止」に反対しているということは、すなわち、日本国民がこのような兵器の保有・使用を望んでいると主張していることになるのである。これは、国民に知らせるべき重大事項ではないのだろうか。

クラスター爆弾、禁止合意持ち越し 国際会議が閉幕
 多数の子爆弾が不発弾として残り、民間人に被害を与えるクラスター(集束)爆弾の禁止条約締結を今年末までに目指す「オスロ・プロセス」の国際会議が22日までニュージーランドのウェリントンで開かれ、今年中の条約締結などを掲げる宣言を採択し、閉幕した。全面禁止を訴えるノルウェーなどと、部分禁止を求める西欧主要国や日本などとの対立は解けず、条約案の最終合意を目指す5月のダブリンでの会合に持ち越された。
 会議筋によると、英国やドイツ、フランスなどは目標を識別して破壊する最新型のクラスター爆弾などについて禁止対象から外すよう求め、宣言への署名の保留も示唆した。日本も「実効性を担保するために主要な生産・保有国が参加できる枠組みとすべきだ」と部分禁止を主張した。
 議長のゴフ・ニュージーランド国防相は、今回の宣言への署名が次回以降の会合の参加要件になるとしたため、宣言は部分禁止を主張する国々の意見も別途付記する両論併記の形となり、西欧主要国と日本も最終的に宣言に署名した。
  ーー以下略ーー
(Asahi.com 2008年02月22日22時02分)

「地雷廃絶日本キャンペーン (JCBL) 」によれば、
  ーー前略ーー
 クラスター爆弾は、現在73ヵ国が保有し、そのうち35ヵ国で210種類を製造しています。日本も国内の3社が生産をしているクラスター爆弾製造国であり、4種類のクラスター爆弾を貯蔵している保有国です。少なくとも12ヵ国が輸出し、58ヵ国が輸入したと言われています。米国、ロシア、英国、ドイツ、イスラエルが「輸出大国」です。今までに世界中で約3億6千万個の子爆弾が使用され、不発弾3千万個が23ヵ国に残っていると言われています。世界中の武器庫に保管されているクラスター爆弾の子爆弾は40億個に上ると推定されています。
  ーー後略ーー

詳しい情報は下記サイト。
地雷廃絶日本キャンペーン

その後、政権交代にともなって日本政府は態度を変えた。福田内閣のもと2008年5月28日のダブリンでの国際会議では一部を除いて禁止するとの条約案に同意、麻生内閣になった後の2008年11月28日の安全保障会議で自衛隊が保有するすべてのクラスター弾の廃棄を決定、12月3日にオスロで開催された禁止条約署名式には中曽根弘文外相が出席して署名した。(2008年12月10日追記)


 
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■2008年01月12日:大森山動物園の犯罪

 秋田市浜田の大森山動物園で昨年12月、同園のキリン「たいよう」をモデルにしたNHKテレビのドラマに "出演" した子どものアミメキリンとその母親が、撮影終了直後に相次いで死ぬという事件があった。
 12日に、NHKがドラマの一部放映中止を発表したことで全国ニュースになった。

 新聞記事等でも、撮影のストレスが死因だったのではないかという批判が出ており、どうやらNHK叩きに発展しそうな気配である。一部のブログでも "残酷!NHK" などという表現が見られる。
 NHKを特に弁護するつもりはない。大手マスコミの傍若無人さ、自然だ・エコだと言いながら撮影のためと称してあたり一面踏み荒らし(生き物を踏み殺し)、何のことはない盛大に自然破壊する振るまいなど、いつものことだから。
 まだ幼い子キリンを親から引き離し、3日間にわたって連日3−4時間も撮影したのである。それも、ニュースなどではないドラマの撮影である。おそらく、多くの人間が激しく動き回り、強い照明やレフ板も当てただろう。聞き慣れない金属音や怒声も聞こえただろう。子キリンはどんなに恐ろしく、心細かったことか。
 また、子育て中の我が子をいきなり毎日3−4時間もどこかに "拉致された" 母キリンの心痛はどうだったろうか。

 しかしながら、この件で "第一に" NHKを槍玉に挙げるのは間違いである。
 責任の殆どは、そんなことをやらせた動物園の側にあると私は断言する。
 キリンという動物は、とにかく臆病で神経質、精神的弱さが特徴の "取り扱い注意" な動物であることは、大型動物を専門に扱う人々にとってはほとんど常識のはずであり、そのような動物を飼育する専門家の集団こそが動物園だからである。
 現代の動物園の存在意義の第一は種の保存である。絶滅危惧種ではないとしても、言わば自然から預かった貴重な動物を、大切に、そしてできるだけ苦痛やストレスの少ない状態で飼育する重大な責務があるのである。
 キリンのような刺激やストレスに弱い動物を、ドラマの撮影に "貸す" などというのは言語同断であり、動物園などと名乗る資格は無い。ただちに閉園させるべきである。
 この園長の言葉の "軽さ・鈍感さ" からはプロ意識のかけらも感じられない。強烈に伝わってくるのは、官僚独特の堅いガードと無責任体質だけである。

キリン番組、放映中止に NHKなど、母子急死重く受け止め

 秋田市浜田の大森山動物園で昨年12月、アミメキリンの母子が相次ぎ死んだ問題で、死ぬ数日前に行われていたテレビ撮影の映像を使用した番組が、放映中止になったことが11日までに分かった。2頭の相次ぐ死という事態の重さと、制作日程が遅れている状況を受け、撮影を行った都内の制作会社、番組を3月に放映予定だったNHKが協議し、決定した。
 制作会社によると、放映予定だった番組は、青年獣医師が骨折したキリンの命を救うドラマ。義足姿で懸命に生きた同園のキリン「たいよう」をモデルにした内容だった。同園は、番組の趣旨に賛同できるとして、3日間で計11時間に上る撮影に協力していた。
 小松守園長は「撮影と死の因果関係は不明だが、2頭の死という悲しい事実がある以上、仕方のないことで残念だ」と話している。
 秋田魁新報 2008/01/12 10:28 更新


 
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■2007年12月03日:高齢化時代

 高齢化とか "超高齢化" とか騒がれているが、平均寿命が80歳まで延びているのに、相変わらず65歳で区切っていれば、区分上の "高齢者" が増え続けるのは当然である。
 しかも、ほとんどの議論において高齢者は "弱者" あるいは "要保護者=社会的負担" という扱いである。元気であるとされる団塊世代についても、殊更にメディアがとりあげるのは "帰農" や "蕎麦打ち" であって、何やら問答無用で第二の人生を強要されている気配である。
 そもそも仕事における定年は、能力の衰え以上に "若者に仕事を回す" ことが主眼だったのであり、人口構成が変化したのであれば見直すのが当然である。仕事を続けたい多くの真面目なサラリーマン達が、異常な企業優遇社会の中で <退職ー非正規雇用での再雇用=格安・使い捨て> という歪んだ形で利用されているのが今日の姿である。
 では個人営業や自由業の場合はどうだろうか、というところで愉快なと言っては問題だが、興味深い事件が起きた。
 ちなみに、100件の窃盗で1000万円というと平均10万円、3人で分けたら一人3万円にしかならない。金も欲しかっただろうが、それ以上に "現役" を続けたかったのではなかろうか。


60〜70代老人窃盗団3人逮捕、盗んだ金で温泉巡り

 東北から関西地方の各地で空き巣や事務所荒らしを繰り返していたとして、埼玉県警と警視庁などが、60〜70歳の男3人を盗みなどの疑いで逮捕していたことが2日、わかった。
 3人は今年6月までの3年間に少なくとも100件(被害総額約1000万円)の犯行を繰り返したと自供しており、盗んだ金で温泉巡りをしていたという。3人はいずれも住所不定、無職の永浜利春(60)、榎本孝行(65)、横田稔(70)の各被告で、常習累犯窃盗などの罪で公判中。
 起訴状によると、3人は2005年11月25日、甲府市善光寺の事務所に侵入して現金約12万5000円を盗んだ。今年6月21日には、埼玉県越生町の民家に忍び込んで現金約22万円を盗むなどした。3人は数年前、刑務所で知り合って意気投合し、出所後に連絡を取り合って“窃盗団”を組織。犯行後は盗んだ金で近くの温泉につかっており、甲府市の事件の後に石和温泉(山梨県)を訪れていたという。
(読売新聞 12月3日9時25分)


 
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■2007年09月28日:カメラマン射殺

 APF通信社の映像ジャーナリスト、長井健司さんが殺された。
 ヤンゴン(ラングーン)市内での治安部隊によるデモ隊の排除の様子を撮影していて、治安部隊兵士に射殺されたと見られる。一般に前かがみで行動することの多いカメラマンの心臓を、どうすれば "上空への威嚇射撃" で貫通させることができると言うのだろうか。明らかな狙い撃ちである。
 ビルマ軍事政権によれば、一連の混乱は戦争でも内乱でもなく、単なるデモということである。戦争や明らかな内乱の場合、ジャーナリストの死は "自己責任" と見なされても仕方のない面がある。
 しかし、単なるデモであって国内に大きな問題は無いのだと軍事政権が主張するのであれば、長井さんを射殺した行為は明確に "犯罪" でなければならない。
 カメラマンが投石したり暴力を振るう筈が無いので、言わば "悪いことは何もしていない" 一般人を射殺したことになる。
 ジャーナリスト・取材であることを理由に殺したのなら、さらに悪質な暴力による言論の封殺である。
 通常、民主的な社会を理念とする国であれば、言論の自由は何よりも尊重されなければならないとする。
 イギリスであれアメリカであれ、戦時下でもないのに自国民のジャーナリストが射殺されたら、ただちに強い遺憾の意を表して犯人の追及と処罰を求める筈である。もしも相手国政府が誠実に対応しなければ、それこそ援助の停止といった一定の外交手段をとるであろう。
 さあ、ダントツの対ビルマ援助国である日本政府は、この問題にどのような態度をとるのだろうか。
 かつて、イラクに "安全だから自衛隊を派遣する" が、勝手に行って誘拐されたのだからNGOメンバーの身柄など "自己責任だ" と言い放った政府だからね。どうなることやら・・。


 【バンコク井田純】外務省は27日、ミャンマーのヤンゴン市内で独立系ニュースプロダクション「APF通信社」(東京都港区)の映像ジャーナリスト、長井健司さん(50)=東京都中野区=が撃たれ、死亡したことを確認した。ミャンマー外務省は「デモに巻き込まれて死亡した」としている。同通信社によると、長井さんは25日からミャンマーで取材していた。
 ミャンマー国営テレビは27日夜、日本人1人を含む9人が死亡したと認め、「デモ隊の頭上に威嚇発砲したが、群衆に紛れていた日本人が犠牲になった」と述べ、危害を加える意図はなかったと主張した。
 町村信孝官房長官は27日夜、東京都内で記者団に対し、長井さんの死因について「心臓を弾丸が貫通したことによるものだ」と述べた。
 ロイター通信によると、長井さんは市内のスーレーパゴダ付近で、治安部隊がデモ隊を排除しようとしたところをカメラで撮影中だったという。関係者によるとその取材中に撃たれた。
 ロイター通信は、目撃者の話として、ヤンゴンで市民ら約1万人による反軍政デモの最中、治安部隊がデモ参加者らと衝突して発砲、日本人1人が撃たれたとしている。
 長井さんの遺体は市内の「ヤンゴン総合病院」に収容されており、関係者は遺体に銃創を確認した。病院入り口前には兵士約50人が立ち厳戒態勢が敷かれている。
 APF通信社によると、長井さんは同社契約のカメラマン兼記者で、今月25日に別の取材で滞在中だったタイからミャンマーに入国、現地のコーディネーターと取材していた。27日にも取材を続けるとの連絡が入ったという。長井さんがミャンマーで取材するのは初めて。
(毎日新聞 9月28日2時0分)


 
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■2007年09月27日: "終わりの始まり" か、ビルマ(ミャンマー)軍事政権

 例によって、日本のメディアの反応は驚異的に鈍い。
 そして、これもまた例によって "日本人の死者" ばかり騒いでいる。
 ジャーナリストの "戦死" は避けられない部分もある。もちろん日本人カメラマンの死について報道することは大切だが、それにしても、ビルマ軍事政権の国民弾圧と現在の混乱について、もう少しまともに報道できないものなのか。下記のロイターの最新ニュースの臨場感と比べて本当に情けない。
 例えば、僧侶を殺す、連行すると言ったことは、ビルマ(人)にとっては殆ど天地がひっくり返るような事態である。このまま終息するとは考えられないし、今現在いったい何人の命が奪われているのかも判らないのである。
 今限在放送中の テレビ朝日系「ニュースステーション」が唯一詳しく掘り下げた報道をしている。期待したい。


ミャンマー兵士、 "家に帰るか、それとも撃たれたいか!"
2007年09月27日 12:49pm(英国時間) アウン・ラ・トゥン

[ヤンゴン(ラングーン)発] 木曜日、軍はヤンゴン中央部の街路で掃討行動を行った
ミャンマー暫定政府の20年間で最大の反乱に対して、2日間にわたる取締りを強化する中で、兵士は抗議デモに向かって "10分だけ待ってやる、家に帰るか、撃たれたいか" と言っている。
200人の兵士が道路をゆっくり行進しながら、抗議の民衆をライフル銃とスピーカーからの巨大な警告で蹴散らしている様子は、全国的なデモの鎮圧で推定3000人の人々が殺された1988年の "始まり" を思い出させる。 ー以下略 (筆者訳)


軍政が武力行使、4人死亡=200人拘束―ミャンマー
2007/09/27 00:07

【ヤンゴン26日AFP=時事】ミャンマー治安当局は26日、軍事政権に対する抗議行動を展開していた僧侶が率いるデモ隊に武力を行使、当局者などによると、少なくとも4人が死亡、100人が負傷した。
 ー中略ー
 警官隊は、警棒や催涙弾を使って鎮圧に当たり、一部では威嚇発砲も行った。これに対し、デモ隊は治安部隊に非難の言葉を浴びせ、投石して応戦した。
 当地の西側外交筋によれば、衝突で約200人が拘束された。このうち半数は僧侶という。ミャンマーでは、僧侶らがはヤンゴンなど各地で9日間にわたり、反軍政デモを繰り広げていた。 〔AFP=時事〕



 ところで、現在、殆どの自由主義に立つ先進国において、この国はビルマ(Burma)と呼ばれている。イギリス政府も(小泉・安倍両首相が大好きだった)アメリカ連邦政府も、公式に Burma と呼んでいるのである。
 有力な野党指導者で軍事政権に軟禁されているアウン・サン・スーチー女史は、日本でも結構有名であるが、「われわれの国の名前はビルマであってミャンマーではない」と明言している。
 それは、Myanmar が極度に独裁的で非民主的な軍事政権によって突然宣言された新国名であり、多くの国が軍事政権そのものの正当性に疑問をもっているからである。
 何でもアメリカ追従の日本政府が、国の呼び方だけは独自にミャンマーを採用し、学校の地理教育などでも強制している理由は何だろうか。
 要約すれば、上記のような経緯で先進国からの国際援助を受け難くなっているビルマにおいて、その軍事政権相手にまさに独占的に "ODA" の大盤振る舞いをやっているからである。
 その "ODA" とは、様々な大規模土木工事を日本のコンサルタントが計画・設計し、それを日本のゼネコンが指名で受注、現場の工事のほとんどは現地企業を下請けに使うものであることは、最近のベトナムの事故でも明らかである。


 
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 ■2007年07月31日:米下院の慰安婦決議

 アメリカ下院本会議で、第2次世界大戦中に行われたいわゆる "慰安婦" の募集・徴用に日本軍が関わったことについて、日本政府に対して謝罪を求める決議が予想通り採択された。
 原文全文の入手・翻訳が未だなので、とりあえず「しんぶん赤旗」が伝えた外交委員会での決議文をもとに考える。
 決議文全体を読むと興味深いことが見えてくる。
 すなわち、 "慰安婦" に関してかなり一方的に旧日本軍および当時の日本政府を非難する一方で、現在の日本政府の様々な国際貢献については "称賛" という言葉まで用いて評価することで一種のバランスをとっているのであり、要するに、謝るべきことは早くきちんと謝って名誉ある国家たれ、と諭している論調なのである。
 そして、この決議文が真に深刻な懸念を示していると思われるのは、

 ・・・日本の学校で使用されるいくつかの新しい教科書は、「慰安婦」の悲劇や第二次世界大戦における他の日本の戦争犯罪を軽視しようとしており、
 日本の官民の関係者は最近、彼女たちの苦難に対して政府の真剣な謝罪と反省を表明した一九九三年の河野洋平内閣官房長官の「慰安婦」に関する声明を薄め、あるいは無効にしようとする願望を示しており、・・・
[2007年6月29日(金)「しんぶん赤旗」]


という記述であり、さらに日本政府に対する勧告として述べている下記の部分である。

 日本政府は、ーーーー中略ーーーー
 (3)日本帝国軍のための「慰安婦」の性奴隷化や人身取引などはなかったといういかなる主張に対しても、明確に公式に反ばくすべきである。そして、
 (4)「慰安婦」に関する国際社会の提案に従うとともに、この恐るべき犯罪について現在と将来の世代を教育すべきである。
[2007年6月29日(金)「しんぶん赤旗」]


 何のことはない、現在の内閣総理大臣がこだわり続ける2つの命題、
  戦後レジュームからの脱却
  教育の再生?
につながる政府および一部メディアの言動を強く批判・牽制しているのであり、現在の日本政府の全体的な政策傾向や姿勢そのものを問題にしていることが明らかなのである。

 政府筋、特に安倍首相は相変わらず "よく説明して" などと繰り返している。
 しかしながら、 "よく説明して、ご理解いただく" という言葉が実際には "問答無用で、受け入れさせる" ことを意味する日本国内専用のレトリックが、アメリカ議会に対して通用するはずもない。
  "テロとの闘い" におけるブッシュ路線への密着は、急速に政策転換を進めるアメリカに対して、最早大きな "貸し" にはなっていない。また "拉致" にこだわる北朝鮮敵視政策も、6カ国協議におけるマイナス要因としか見られなくなっている。
 このまま行けば今後の日米関係は極めて厳しいものとなるだろう。


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 ■2007年07月03日:久間発言の問題

 既に報道されているので、発言内容そのものは繰り返さない。
 ここで問題にしたいのは、この国の政治家とメディアの異常なほどの視野の狭さ、意識の偏りである。
 広島、長崎の首長や被爆被害に関わる人々が激怒するのはある意味で当然であるが、それにしても「心を傷つけた」の連呼ばかりなのは、一体何なんだろう。
 それ以上に、粗末というか惨めでさえあるのは「(選挙を控えた)この時期に・・」としか言わない(思いつかない)総理大臣である。前任の小泉総理の外交政策への批判に乗って登場し、一応中国訪問などしてみたが、実は国際関係に関するセンスなど皆無であることがよくわかる。

 少し時間を追って考えてみよう。

 世界の眼で見れば、核開発において日本は中国・インドとならんでアジアのトップであり、プルトニウムの備蓄量でもアメリカ、ロシアに次いでいる。
 さらに、人工衛星を打ち上げるロケット技術、誘導技術ももっているが、これは「弾道ミサイル」に必要な技術と全く同じものである。
 それにも関わらず、これまで日本を露骨に「危険な国」と名指しする国が(北朝鮮を除いて)無かったのは、以下の理由による。
 第一に憲法9条の存在、第二に被爆体験を基とする核兵器に対する国民の強い反発、そして第三に国内における軍部(=防衛庁)の地位の低さ、である。
 (しかし、潜在的な不信感は東南アジアなどには依然としてあった)

 これに対して、
 現在の日本政府・総理大臣は、「戦後体制からの脱却」を掲げ、「憲法改正」を最大の目標に掲げている政権である。
 憲法はまだでも、自衛隊に関する法改正は着々と進め、「海外任務(=活動)」もほぼ自由に行なえるようにした。
 さらに、総務省の下部組織であった「防衛庁」を「防衛省」に昇格させ、そのトップは「長官」から「大臣」になって権限も強化された。
 その流れの中で、初代の「防衛大臣」が「原爆の使用もしかたなかった」(文意をとれば、結果的には有意義であった、ととれる)と発言したのである。
 政治家の「失言」が、政策転換の「試し撃ち」として行われることがある、ということは世界的な常識であることからして、この発言が「日本の核武装」の可能性を示唆したものと受け取られる可能性は決して小さくない。
 実際、一部の政治家はこれまでにもそのような発言をしているのだが、問題は「初代防衛大臣」の発言だ、ということである。

 政府として、この件を厳正に処分(当然、大臣罷免)しない限り、既に6カ国会議で孤立し始めている日本は、外交的にさらに苦しい状況に追い込まれるだろう。
 明らかにわが国の信用を傷つけたこのような発言を、「心を傷つける」とか「選挙にダメージ」などというレベルでしか見ようとしないのが、この国の政治家とメディアのレベルなのだろう。


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■2007年05月17日:ブッシュ暗殺

 英国のサスペンス映画 "Death of a President" を日本で公開するにあたって、興行会社が「ブッシュ暗殺」という邦題を付けようとしたところ、映倫管理委員会が拒否してタイトルの変更を求めているというニュース。

 こういうの(企業)を「程度が低い」と言うのである。
 ブッシュ大統領をどのように評価しようと、彼は現役のアメリカ合州国の大統領である。その人物を名指して「暗殺」という言葉を冠して興行するとは非常識の度が外れている。
 例えば、「安倍晋三暗殺」というタイトルの映画が韓国で公開されたら日本国民はどう感じるだろうか。彼を支持するかどうかには関係なく不愉快に感じ、そのようなタイトルを付ける人々を軽蔑するのではないか?
 しかも、素直に和訳すれば「ある大統領の死」というなかなかセンスの良い英国版の原題を、なぜそのような悪趣味でセンセーショナルなものに変えなければならないのか、やはり狂っているとしか言い様が無い。
 話をすり替えてはならないのは、現役の他国の大統領が暗殺されたらどんなことになるか、というポリティカル・フィクションの映画を作る、小説を書くといったこと自体が問題だと言うのではない、ということである。これはまさにデモクラシー国家にとって最も大切な言論・創作の自由そのものだからであり、それ故、この映画を制作することができた英国という国の確かさを示しているのである。
 ただ、広く表現するにあたって一定の節度が求められることもまた重要であり、英国版のタイトルはこのことを見事に体現している。それを上記のような馬鹿げた騒動にしてしまう連中には本当にウンザリする。


映画「ブッシュ暗殺」を却下=映倫が邦題変更求める

 米大統領暗殺を描いた英国のサスペンス映画「ブッシュ暗殺」(邦題)について、映倫管理委員会が審査で退け、タイトルを変更するよう配給元のプレシディオに求めていることが、17日分かった。映倫では、「あらゆる国の主権を尊重し、元首、国旗、国歌及び民族的習慣の取り扱いに注意する」という規程に、タイトルなどが抵触しているとしている。
 原題は「Death of a President(大統領の死)」で、ニュース映像を交えてブッシュ大統領の暗殺後を描いている。昨年のトロント映画祭で国際批評家賞を受けたが、米国内では大手映画館チェーンが上映を拒否した。10月公開を予定しているプレシディオは、「過去には国家元首の名前を使った映画もあるので、再検討をお願いしている」としている。
5月17日13時1分配信 時事通信


 
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 ■2007年1月28日:今、大阪で起きている事

 今、大阪で「人権」に関する重大な事態が起きつつある。
 具体的には、世界陸上競技大会の会場となる長居公園において、テントや小屋掛けで生活してきたいわゆるホームレスの人々に対して、強制撤去に向けての手続きが進行していることである。
 この問題は、まさに緊急の事態である。最終的に、実態として公園内に居住している人々が、「法律に基づいて」外に出されることを止めることが出来ないとしても、その過程や具体的手段において、そしてその後のこれらの人々へのケアという面において、重大な人権侵害が発生することだけは避けなければならないからである。
 この問題については、関西を拠点にホームレスや野宿者問題に取り組んできた若手研究者たちが「声明文」を発表し、署名運動を呼びかけている。私からも賛同の署名をお願いしたい。
大阪市・長居公園テント村に対する行政代執行に関する研究者声明

 この問題は昨日今日に始まった事ではないが、ここ数日の動きを見ていると、下記の記事に見られるように、明らかに行政が「かさにかかって」攻勢に出始めていることが感じられる。(記事はいずれも Asahi.Com 元記事はいずれも期限切れで表示できない)

2007年01月23日 西成の大量住民登録、大阪市が抹消へ手続き開始へ
2007年01月23日 野宿の公園テント、住所と認めず 大阪高裁が逆転判決
2007年01月25日 長居公園野宿者に「戒告書」 大阪市、強制撤去へ手続き

 公園などでの住民登録は認めない、一方、便宜置籍的な集団登録も抹消するということは、要するに「消す」ことを意図しているとしか考えられない。給付手当ては受給可能と言うが、住民票無しでは生活保護の申請も就職活動もできないからである。
 このような時、行政側の強硬姿勢の「後ろ盾」は常に「住民・市民の要望」という錦の御旗である。もしもそれが怪しくなれば姿勢は一挙に変化することは、伊勢崎市の観覧車をめぐる騒動が良い例である。
 野宿者も同じ人間であるという訴え、今の時代誰でも明日は我が身だという認識を、どれだけ効果的に広く伝える事ができるか、そして現地大阪の市民・住民の間から行政の暴走を抑止する意見がどれだけ出てくるかが緊急の課題となろう。


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