自然・災害・エネルギー_1

(Quoraアーカイブ 2018〜2019)


2019年09月23日:日本で最も自然災害を受けにくい場所はどこ?

2019年04月22日:砂漠に水をかけ続けたら何か変化はある?

2019年01月29日:逆流している川はありますか?

2018年09月21日:「一級河川」と「二級河川」、どう決める?

2018年08月30日:ハワイに上陸するハリケーンが少ないのは?

2018年08月01日:黒潮発電は有望でしょうか?デメリットは?

2018年07月05日:原発を再稼働させる必要があるのですか?

2018年06月14日:日本が火山の爆発で沈没する可能性は?

2018年04月13日:ヨーロッパに砂漠がないのは何故ですか?

2018年04月12日:風力発電の問題点は何ですか?

2018年03月31日:砂漠を森林にすることのマイナスの側面は?

2018年03月20日:北極と南極はツンドラ地帯とみなされる?


 
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 ■2019年09月23日:

Q:日本で最も自然災害を受けにくい場所はどこですか?

 あらゆる災害について「最も被害を受けにくい(一つの)場所」を決定することは困難です。  と言うのは、日本では、地震・地滑りなどの地盤災害、火山噴火、強風・豪雨などの気象災害という3つの全く異なる種類の災害がランダムに発生しており、さらにそこから二次的に発生する斜面崩壊、洪水氾濫、津波、高潮といった災害まで、多岐に渡る自然災害に直面しているからです。  東京や大阪の下町(低地)は、地震と洪水という複数の災害危険を抱える地域ですが、それらについては安全とされてきた千葉県の上総台地の上で、今回の台風では異常な強風による大きな被害が発生しているのです。
 また、21世紀に入ってからの「大規模気候変動」の一端として、時間100mmを超えるような異常な集中豪雨が日本国内のどこでも発生するようになったことも重要です。日本では、河川の治水についてはもともと高度に整備されていたのですが、そもそも1時間に 100mm とか24時間で 600mm という振り方は前提としていません。そのため、これまで比較的安全とされてきた低い丘陵地などでも、突発的な洪水氾濫や斜面崩壊の危険が急増していることを、西日本豪雨での広島・岡山の被害が示しています。
 さらに、富士山、阿蘇山クラスの大型火山が本格的な大噴火を起こした場合、その降灰は100km以上の範囲まで届くと予測されており、送・配電、電気通信などに大きな障害をもたらし、住民の健康被害も予想されています。
 日本の美しく繊細な自然は、環太平洋地震帯・火山帯の上に位置し、周囲を海に囲まれたモンスーン気候の細長い国だからこそ得られるものなのですが、それはまた多様な自然災害の危険も内包するものなのだ、と割り切って住み続けようではありませんか


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 ■2019年04月22日:

Q:砂漠に毎日水をかけ続けたら何か変化はあるのでしょうか?それともただ蒸発して終わりなのでしょうか?砂漠のオアシスみたいなのはどうやってできるのでしょうか?

 地表面にただ水だけをかけ続けても「蒸発して終わり」です。また「かけ過ぎる」と過剰灌漑となって、土壌中の塩分が水分とともに地上に出てくる「塩分遡上」を起こし、「塩砂漠」となってしまう危険もあります。旧ソ連時代に綿花の大量作付けを目指して無理な灌漑を続けたウズベキスタン西部、アムダリアという大河の流域でこの現象の最悪の事例が見られます。
 ただし、場所によっては、当初は人為的に水を供給しながら特定の植物を計画的に育て、段階的に異なる植物を植えて根付かせて「日陰」を作るという方法で緑化が可能なことは、遠山正瑛博士が挑戦し、中国の人々が後を継いだ中国のクブチ砂漠の緑化活動で証明されています。
空から見る緑化が進むクブチ砂漠 内モンゴル自治区

 シルクロード(タクラマカン沙漠)のオアシスの一部は、天山山脈の雪解け水が「伏流水」となって地下を流れ、特定の場所で地上に現れたものです。この伏流水を人工的に作り出すのが「カレーズ」または「カナート」と呼ばれる地下水路で、オアシスの多くはこれを用いて人工的に開発されたものです。
カナート - Wikipedia


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 ■2019年01月29日:

Q:「逆流している川はありますか?

 「川」というのは、雨や雪として降った水や湧水が重力に従って地表を流れ下るうちに、流水の力で地表を侵蝕することによって流路が固定されたもののことで、川の水が重力に逆らって下流から上流に流れることは通常あり得ません。例外的に見られるのは次のようなケースと考えられます
1.風景の視覚的トリック。 車が自然に坂を登る不思議な場所などとテレビ等で紹介される例に多いのですが、道路沿いの森林が強い季節風によって坂道の下の方に向かって斜めに傾斜した状態で生えている坂道区間で、その傾斜した森林が "垂直に見える様に" カメラを傾けて、坂道を自然に下る車を撮影することで、「坂道を登るように見える車」の動画を撮ることができます。これと同様に、川沿いに下流に向かって傾斜した森林が生えている場所で、その木々が垂直に見える様にカメラを傾けて撮影すれば、スクリーン上には下流から上流に向けて流れている様に見える川を登場させることができます。
2.昔と逆に流れている。 水源付近で、地盤変動や大規模な災害による地形変化が起きたために分水界が移動し、例えばかつて北 ---> 南に流れていた場所に南 ---> 北に流れる川が出現することがありますが、その場合も川自体は高 ---> 低に流れています。河川は海や湖に注ぐ河口部で定義されるため、例えば瀬戸内海に注ぐ川の最上流部であったはずが、日本海に注ぐ川の最上流部に変わったという意味で「河川争奪」と呼びます。
3.河口付近での海水の日常的な遡上。 干潮時から満潮時にかけて、河口付近で潮位の上昇が河川水の流量を上回るために起きる一時的な逆流で、日本でも多くの川や運河で見られます。川の流れが止まった様に見え、注目していると落ち葉やゴミが静かに上流に向かって流れ出す様子が見られます。
4.河口からの海水の非日常的な遡上、海嘯(かいしょう)。 「海嘯(かいしょう)」とは、潮流・潮汐・河川の流量・河口部の地形によって引き起こされる河口部からの一時的な激しい逆流現象で、世界各地で見られますが、ブラジル・アマゾン川の「ポロロッカ」や中国・钱塘江の「钱塘江大潮」などが特に規模が大きく有名です。いわゆる大潮・小潮の際に起きることが多いとされています。地震による津波とは別の現象です。


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 ■2018年09月21日:

Q:「一級河川」と「二級河川」は、厳密にどのような違いにより決まられているのかご存知でしょうか?

 河川法という法律で定められた名称です。国家的規模で重要な109の「一級水系」に含まれる「河川」の中で、特に重要として国土交通大臣が指定した「区間」が「一級河川」、「二級水系」に含まれる「河川」のなかで重要として都道府県知事が指定した「区間」が「二級河川」です。
 「水系」と言うのは、最終的に一つに合流して海に注ぐことになる「全ての本流・支流」を合わせた河川群をまとめて扱う単位です。2つ以上の都道府県(北海道の場合は地域振興局)にまたがる水系の殆どは一級水系に指定されています。二級水系は単独の都道府県内で完結するものが中心です。このように一級・二級は「水系」の違いであって、一級水系内に二級河川が存在することも、その逆もありません。
 また注意が必要なのは、一級・二級河川とも水源から河口までの流路全体ではなく、あくまでも指定された「区間」の定義だということです。その区間以外の部分は、市町村長が指定する「準用河川」か何も指定のない「普通河川」となります。具体的な「指定」の詳細は下記の資料にあります。
参考:一級河川の指定等について
http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/shaseishin/kasenbunkakai/bunkakai/dai52kai/siryou1-2.pdf


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 ■2018年08月30日:

Q:ハワイに上陸するハリケーンが少ないのは、何故ですか?

 「ハリケーン」は、カリブ海およびメキシコ西岸で発生する熱帯低気圧で、カリブ海から時計回りにフロリダ半島方面に向かうのが一般に良く知られていますす。メキシコ西岸からのものは、太平洋上を西進して消えてゆくのが大半で、コースより北側にあるハワイにはほとんど到達しません。
 一方、南太平洋で発生して時計回りにフィリピンから日本を襲う熱帯低気圧が「台風{Typhoon)」です。これはハワイよりも西のマリアナ諸島近海で多く発生して西に向かうため、やはりハワイに到達することは殆どありません。
 ちなみに、インド洋で発生して南インドからバングラデシュを襲う熱帯低気圧は「サイクロン」と呼ばれます。


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 ■2018年08月01日:

Q:原子力発電の代替エネルギーとして黒潮発電は有望でしょうか?デメリットはありますか?

 黒潮発電というのは聞いたことがありません。海洋上に設置する発電プラントとしては「海上風力発電」があり、海水中に設置する発電プラントには「潮流発電」「潮汐発電」「波力発電」があります。
 「海上風力発電」は既に実用段階に達していて、日本でも多くのプラントが既に稼働、建設中です。太陽光発電に比べて単体の出力が大きく、ビジネスとして確立している例も多く有望と言えば有望ですが、「風」という自然現象に依存するため、立地の制約および出力の不安定性は免れません。
 「潮流・潮汐発電」は、いずれも海水の動き=運動エネルギーを水車・プロペラ等を介して、「波力発電」は「揺れ」の運動エネルギーを電気エネルギーに換えようとするもので、太陽光、風力などより安定的な発電方式として世界の研究者・技術者が取り組んでいます。
 日本を含めて一部では小規模な実用化事例もありますが、広範な実用化には残念ながら至っていないようです。いずれも、建設コスト・維持コストが大きく耐用年数が不明であることに加え、一定規模の施設・設備を流れの速い海中に設置するため、船舶の航行や漁業活動への障害の可能性を否定できないこと、災害時のリスクが避けられないことが大きいようです。


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 ■2018年07月05日:

Q:原発が稼働していなくても電力不足にはなりませんでしたが、どうして原発を再稼働させる必要があるのですか?

 現在の(国全体としての)電力需給の動向から見れば、再稼働する必要はありません。
1.原発停止で何か起こったのか?
 3.11直後の「計画停電」とそれを契機とする「電力不足」宣伝などが記憶にある方も居ると思います。ただあれには政策的・意図的な「誤導」がありました。それは第一に、東京電力管内において震災直後に停止した原発は福島第一・第二 "だけ" で出力は合計721万kW、もう一つの柏崎刈羽原発は「動いていた」ことです。柏崎刈羽原発が全機停止したのは翌年2012年の3月で、その時には計画停電などとっくに終っていました。実は、震災直後に停電することになったのは東京電力の複数の大規模火力発電所が地震と津波で被災・停止、福島の原発を上回る約1000万kWの電力が供給されなくなっていたためなのです。ただ、火力発電所というのは言わば普通の工場と同じなので、緊急工事の結果早いところで2ヶ月、遅れたプラントでも4ヶ月強で復旧できたことで、停電が長引くことは無かったのです。

2.原発による電力は "安い" のか?
 いいえ、安くありません。ここでは細かい話は省略しますが大きく次の2点を隠す、あるいはすり替えることによって安く見せかけているだけです。第一は、実際にかかる費用(本当の原価)に含まれるべきなのに、電気料金とは別に国(=税金)が支出している費用が大きいことです。見かけの電気料金には含まれなくても、国民全体で負担していることには変わりありません。第二に、原発は簡単に止めたり出力を変えたりできないため、揚水式発電所という巨大なバッテリーを必要としますが、これは原発がなければ全く不要な設備であり非常に割高です。公表数字はそれを関係のない通常の水力発電に加算して見かけのコストを上昇させ、原発の方を低く見せているのです。これらの問題については立命館大学の大島教授がずっと追及していて、下記の資料にまとめられています。(2010年に発表されたもので、3.11による "にわか反原発" ではありません)
http://www.greenaction-japan.org...
3.電力は本当に足りるのか?
 3.11 の後、計画停電の経験などもあって、日本では市民も企業も節電・省電力への関心を一挙に高めました。特に企業の反応は大きく、工場や店舗の全ての照明をLED化、工場の大屋根全面に太陽電池パネルを設置するなどといったことが普通になり、熱と電力を効率良く利用するコージェネレーションも急速に普及しています。また、家電製品の電力消費量なども驚異的に改善されています。報道はとかく「自然エネルギー」への期待などに偏りますが、この節電・省電力の効果が絶大なことは図を見れば明らかです。しかしながら政府は、既に人口が減少し始めているにも関わらず、相変わらず「右肩上がり」の将来予測に固執して、再稼働が必要だと叫んでいるのです。
(平成29年度エネルギー白書)


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 ■2018年06月14日:

Q:日本が火山の爆発で沈没する可能性はありますか?

 日本列島全体が、火山の爆発によって水没する可能性はありません。
 もちろん、プレートの挙動によっては数億年後に日本列島が水没している可能性も無いとは言えません。また、同様に朝鮮半島と本州が陸続きになったり沖縄南部とフィリピン諸島が接近する可能性もあります。ただしその頃には今と同じ人類はもう居ないと考えられるので、目撃することはできないでしょう。
 比較的近い将来(と言っても1万年以内くらい!)に、いわゆる大規模カルデラ噴火が起きる可能性はあります。仮に喜界カルデラや姶良カルデラなど南九州のカルデラ群で同時に大噴火が起きたとしても、最大で九州島の南半分が吹き飛ぶ程度で、日本列島全体が沈没することはやはり考えられません。


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 ■2018年04月13日:

Q:ヨーロッパに砂漠がないのは何故ですか?

 「ヨーロッパに沙漠が無い」のではありません。
 適度な降雨とアルプスからの雪解け水が森林と草原を育て、一定の寒冷さが病気や害虫の大量発生を抑制してくれる農業と牧畜に適した土地を形成、そこで人類が繁栄したのがヨーロッパです。沙漠だったら、今のヨーロッパのようにはなっていません。
 沙漠の誕生と人間社会の形成では、時間スケールの桁がまったく違います。


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 ■2018年04月12日:

Q:風力発電の問題点は何ですか?

1.風切り音、低周波振動、回転翼による光のちらつきなどが酷いため、近くに民家がある場所では公害問題が生じて設置が難しい。
2.そのため、近年では洋上設置が中心となっているが、塩分による腐食防止の決定的な方法が確立されてないため耐用年数が不透明。また、沿岸の漁業者への補償問題が生じる。
3.太陽光に比べれば、天候による発電量のばらつきは少なく夜間も発電できる点で優れているが、ポール状の巨大建造物のため、台風のような異常な強風によって倒壊・破損する危険性が高い。
4.最後に、風力発電だけの問題ではないが、既存電力会社の送電網に頼るため、系統接続の拒否や不当な課金を迫られるなどの問題があり、未だに解決していない。


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 ■2018年03月31日:

Q:砂漠を森林にすることのマイナスの側面は何ですか?

 現実には不可能ですが、仮に「全ての沙漠」を森林にしたとすると、氷河期ー間氷期にも匹敵するレベルの地球規模の気候変化を起こすと考えられます。きちんとシミュレーションしてみないと詳細は不明ですが、個別的なマイナスを挙げられる程度では済まないと思います。一方、巨大な沙漠の極く一部を森林に変える程度では、生態的にも地球科学的にもマイナスは殆どありません。
 質問の背景に「沙漠緑化」への疑問が有るのではないかと思いますが、現在世界で取り組んでいる「沙漠緑化」は、長期的に見ると「急激な砂漠の拡大を食い止め、遅らせる」活動なのです。例えれば、この100年間に100平方キロ拡大した沙漠の一部5平方キロを、最近20年でやっと森林に戻すことが出来た、というようなことです。
 もう一つ、世界的には沙漠は現在も拡大し続けています。その主要な原因は、気候変動よりも発展途上国の人口増加によって人々が(生きるために)行う無理な農地の拡張や過剰な放牧です。また中央アジアの一部地域のように、過剰な灌漑・開墾によってステップ地帯や湖沼が広く塩沙漠と化した例もあるのです。


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 ■2018年03月20日:

Q:北極と南極はツンドラ地帯とみなされていますか?

 北極(点)も南極(点)もツンドラではありませんが、北極圏の広い範囲、南極圏の一部にはツンドラが分布しています。
 「北極」は地球の自転軸の北端の地点を指す「点の位置」であり、「北極圏」「北極地帯」とは意味が違います。「北極点」は氷結した海面上にあるので、(陸地の一種である)ツンドラではありません。ただし、北極を取り囲む「北極圏」に属する陸地にはまさに「ツンドラ」が拡がっています。
 一方、地球の自転軸の南端の地点「南極点」は、巨大な南極大陸(=陸地)の上にありますが、やはり分厚い氷の層で覆われており、一定の土壌の分布と植生の存在を条件とするツンドラではありません。ただし、南極大陸の周縁部や南極圏内の島嶼の一部にはツンドラが形成されています。


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