スポーツと社会
(Quora アーカイブ 2018/05〜08)
2018年07月05日:日本代表強化にはサッカー協会が変わらなければ? |
2018年07月05日:相撲の見どころや醍醐味とはなんですか? |
2018年06月29日:感動や希望を与えられるようにという言動をどう感じる? |
2018年05月27日:日大アメフト部の事件についてどう思いますか? |
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*Quora という Q&A サイトに投稿した「回答」。一部修正してあります。
■2018年08月01日:
Quora 質問:サッカー日本代表が強くなるためには、日本サッカー協会がまず変わらなければならないというのは本当だと思いますか?
難しい質問です。なぜならば、「まず協会が・・・」という意見が一定程度あることは事実ですが、実際に「どんな改革や努力が有効だったのか」は、日本代表が本当に強くなって初めて見えてくることなので、協会さえ改革すれば "必ず強くなる" などとは、本当はだれにも言えないからです。
もちろん、「強化方針」が協会上層部の人事によって変転し、特に、代表監督の選定プロセスに疑義を感じさせるような日本サッカー協会の現状は、決して好ましいものではありません。
ただ、協会の体質を批判しているように見える意見の中にも、本音は「選んだ代表監督が気に入らない」とか「選手の選び方が気に入らない」いうことに過ぎない意見が、常に一定の割合で存在することも否定できないのではないでしょうか?
■2018年07月05日:
Quora 質問:相撲の見どころや醍醐味とはズバリなんですか?
1.勝敗決定のルールが最も単純・明快で合理的であること
足の裏以外の身体部位が先に土俵の砂に触れるか、土俵の外に先に出れば負け、というのは極限的に明快であり、「判定勝ち」といった疑義の残ることが起きない。
2.ペース配分が一切無く瞬間に全力を出しきる競技であること
陸上の100メートル競走に似た緊張感と爽快感がある。
3.成績評価、ランク付けも合理的・客観的であること
勝ち負けの数で機械的に番付の昇降が決まるので、不公平感が生じる余地がない。
4.伝統文化を上手く保存していること
土俵の構造・形や力士の褌姿、行事の装束、土俵上の所作など伝統をきちんと守っていて、近くで見ると本当に美しい、歌舞伎にも似た異世界を見せてくれる。
5.近代化にも熱心であり、大胆な改革を行っていること
あらゆる競技の中でおそらく最初に写真判定・ビデオ判定を導入、テレビ中継のために土俵の「柱」を撤去して釣り屋根に、また近年では取り組みを(協会独自に)ネット配信しているなど。
6.実は最も国際的なプロ・スポーツの一つであること
モンゴル出身力士が話題になることが多いが、実はサッカーと並んで多国籍である。現在はアジア・ヨーロッパとハワイだけだが、過去には南北アメリカやアフリカ、大洋州出身の力士も在籍した。アマチュアの世界選手権も行っており、優れた外国人力士の登竜門となっている。
■2018年06月29日:
Quora 質問:「感動や希望を与えられるように」と公言するスポーツ選手・指導者がいます。こういう言動をどのように感じますか?(賛成・反対どちらの立場も歓迎です)
リクエストありがとうございます。以下の回答は、個人的な「好き・嫌い」に関するもので、賛否を主張したり何かを批判する意図はありません。
スポーツ選手や指導者がインタビューなどで「(皆さんに)感動や希望を与えられるように(全力を尽くす)」などと公言するのは、私は "嫌い" です。感動や希望は受け手の心の中に「生まれる」ものであって、「与える」ものではないと考えるからです。
その種のことを一切「言うな」とか「聴きたくない」と言ってるのではありません。せめて、「(私は)自分自身の(目標の)ために全力を尽くす。そのことに皆さんが感動や希望を感じて頂けるのなら幸せだ」くらいにして欲しいと思います。
■2018年05月27日:
Quora 質問:アメフト選手の事件についてどう思いますか?
まず、事実関係について。「一般的な意味で "激励" しただけで、反則しろとは指示していない」という監督・コーチの説明はまったく受け入れ難いものです。その理由は以下の5点です。
1.アメリカンフットボールが、多くの球技の中でももっとも緻密な戦略のもとに細かく指示されながら行われる種目であること。
2.その中でも日大フェニックスというチームは、試合中の全ての動き・プレイについて(選手のアイデアなどではなく)厳密に監督・コーチの指示に従うのが特徴であると、選手やOBが述べていること。
3.当人以外の選手の証言もあり、最終的にコーチも「言ったかも知れない」などとしている「ケガさせて・・」という発言、単なる発破や激励ではあり得ない文言であること。
4.試合中のビデオで見るチーム幹部の動きや態度、直後の監督の音声データなどから、この「反則」に全く驚きも動揺もなく、当該選手に対して叱責もしていないことから見て、「予定通り」と認識していたことが明らかであること。
5.当該選手の記者会見、特に質疑応答を見る限り、この選手は相手の言葉・論旨を正しく聞き取り、その殆どに的確かつ率直に答えており、大学生として充分な知的能力を示している。「誤解」や「勘違い」で反則するなど考え難いこと。
以上から、この件は明らかに「鉄砲玉」として選ばれた選手に「故意の反則」を監督・コーチが命令したもので、チーム全体を覆う強権的な上意下達の風土の中で、性格的な強さが若干欠けた選手が言いなりにラフ・プレーを行ってしまったのだと判断されます。アメリカンフットボールの競技団体は、断固たる決意をもってこのチームの監督・コーチ全員を追放するべきであると考えます。
当該選手については、厳しいようだが本気で反省して欲しいことがあります。それは「相手に怪我させたこと」や「アメリカンフットボール競技を汚したこと」などではありません。それはそれで反省が必要ですが、監督・コーチにより大きな責任があることだからです。
元々真面目で優しい性格であると想像する彼に “本気で反省” して欲しいのは、「 "自分自身の倫理観" よりも監督・コーチの命令を優先させた」ことです。そのような思考・行動は「渡世の義理で人を殺す」ヤクザと同じであり、ユダヤ人虐殺のアイヒマンにも通じるものだということを、心から噛み締めて欲しいと思います。