阿賀野川・歴史と社会

1.流域の概要

1.3 特徴的な地形

■雪崩によって作られる地形〜奥只見
 只見川の上流域や早出川の上流部には、山肌が稜線から谷底までU字型に削られ、基盤岩が剥き出しになった独特の地形が見られる。
 この地形は、比較的硬い岩石でできた山の斜面に、雪崩が何度となく繰り返され、その侵食作用によってできる「雪食地形」と呼ばれる。

雪食地形

■先行谷と河岸段丘〜会津盆地
 阿賀川は会津盆地で只見川をあわせ、西側山地の最も低いところから典型的な先行谷を形成しながら越後山脈を横断して越後平野へ流れ下る。
 元々川が流れていた平地の一部が隆起して川を横切るように山脈が形成されるときに、隆起の速度よりも谷の侵食が速い場合に形成されたものを先行谷という。
 阿賀川と只見川との合流点付近では、隆起に伴って形成された見事な河岸段丘が見られる。

河岸段丘

■会津盆地と猪苗代湖
 会津盆地は東西約12km、南北約40kmの南北に細長い盆地で、盆地の底は扇状地性低地で構成されている。
 猪苗代湖は、湖面の海抜高度が514mに達し、西の会津盆地に対しても東の郡山盆地に対しても300m前後の落差があり、水力発電のための貯水池となっているほか、灌漑用や水道用の水源としても利用されている。
 断面図上部の「B、B'」に対応する位置が、前出の地形図に記載されている。

猪苗代湖

■砂丘に閉ざされ、排水が困難な河口部
 阿賀野川の河口がある越後平野は、海岸部を砂丘で閉ざされたいわば盆地状の地形をしており、かつては福島潟や紫雲寺(塩津)潟といった低湿な地域が広がっていた。洪水時には、砂丘によって出口を失った水がしばしば河道から溢れ、潟の周囲を中心に広大な地域が湛水した。
 江戸期以降、多くの放水路や排水機場が整備され、潟の干拓や排水が進み、低湿地帯の開発が急速に進められた。

下流断面

 
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